カンダタの宝箱

カンダタの宝箱
ドラクエIIIの世界には、
勇者でも、魔王でもない男がいる。
カンダタだ。
盗賊。
犯罪者。
悪党。
物語の主軸から見れば、
どう考えても“外側”の存在だ。
それでも彼は、
プレイヤーの記憶に残る。
なぜか。
宝箱は、勇者のためのものじゃない
ドラクエの世界では、
宝箱は当たり前のように置かれている。
勇者が開け、
剣を手に入れ、
強くなっていく。
だが、冷静に考えるとおかしい。
なぜ宝は、
いつも勇者の進行ルートに
都合よく配置されているのか。
答えは簡単だ。
世界が、勇者の物語として設計されているから。
カンダタは、
その設計の外側にいる。
だから彼は盗む。
カンダタは「悪」なのか
カンダタは悪党だ。
これは否定できない。
だが彼の行動は、
勇者と本質的に違うだろうか。
- 強い装備が欲しい
- 金が欲しい
- 生き延びたい
勇者も同じだ。
違うのは、
許可されているかどうかだけ。
勇者が宝箱を開ければ「冒険」。
カンダタが奪えば「犯罪」。
この差は、
能力でも倫理でもない。
物語の中心にいるかどうかだ。
宝箱の正当性は、誰が決めているのか
勇者が宝箱を開けるとき、
誰も文句を言わない。
その宝が、
- 誰のものだったのか
- なぜそこにあるのか
考えもしない。
だがカンダタが同じことをすると、
討伐対象になる。
ここには、
非常にドライな現実がある。
正しさは、
行為ではなく
立場で決まる。
これは、
ビジネスでも、社会でも、同じだ。
カンダタは、勇者になれなかっただけ
カンダタがもし、
- 王に選ばれ
- 血筋を持ち
- 物語の中央に配置されていたら
彼は「勇者」だったかもしれない。
だが彼は選ばれなかった。
だから彼は、
自分のルールで生きる。
宝箱を、
力ずくで取りに行く。
それは反抗であり、
同時に主体的な行動でもある。
勇者は「与えられる人」、カンダタは「取りに行く人」
ここが一番重要だ。
- 勇者:
世界から役割を与えられる - カンダタ:
何も与えられない
だからカンダタは、
取りに行くしかない。
彼の宝箱は、
報酬ではない。
主張だ。
カンダタの宝箱が突きつけるもの
ドラクエIIIは、
勇者の物語であると同時に、
勇者じゃない人間の居場所を
あえて描いた物語
でもある。
カンダタは勝たない。
歴史にも残らない。
だが彼は、
- 物語に依存せず
- 正当性を与えられず
- それでも行動する
存在だ。
最後に
ロトの勇者は、
勝ったから神話になった。
カンダタは、
勝てないから盗んだ。
だがその差は、
人間の価値の差ではない。
配役の差だ。
宝箱を開ける権利を、
最初から与えられなかった男。
それがカンダタだ。
そしてこの世界には、
勇者よりも、
カンダタに近い人間の方が
圧倒的に多い。
だから彼は、
忘れられない。

新村 裕介
株式会社SPINNA BAMBOO 代表取締役
飲食店の調理師、店舗の工事会社、大手不動産系列の建築デザイン会社、
大手什器メーカーのPM部門を経て、2022年8月 株式会社 SPINNA BAMBOOを設立。
ブランドショップの工事担当から、オフィス入居の法人営業、ビル改修のコンストラクションマネージャー、
総予算100億円を超えるオフィス移転のプロジェクトマネージャーまで、多種多様な実績を積んできました。
この長年の経験を活かして、常にプロジェクトの入口から出口までの一気通貫した全体視野を持ちながらも
それぞれのステージに必要な役割に特化した、専門性の高いパフォーマンスを発揮します。
また、某大手IT企業での総務マネージャー経験もある為、インハウスの目線で課題を掴む事も得意です。

